巣鴨教会聖書研究会 創世記2章4節b〜25節

2003年6月15日 渡辺善忠

1.創世記を記した人々

創世記は大きく分けて4つのグループの人々によって記されました。

第一のグループは「ヤハウィスト」と呼ばれている人々で、この人々は神のことを「ヤハウェ」と記していることからこの名で呼ばれています。今回の2章4節b以下の部分はこの人々によって書かれたと考えられています。「ヤハウィスト」の文章の特徴を一言で言うなら「人間に祝福を与え給う神」ということが主題であると言えましょう。

第二のグループは神を「エロヒーム」と呼んでいるために「エロヒスト」と呼ばれている人々です。「エロヒスト」の文章は「神を恐れる」というテーマを実践的に展開していることが特徴で、ヤハウィストよりも後の時代に属していると考えられています。

第三のグループは「エホゥイスト」と呼ばれるグループで、ヤハウィストの資料と基にして、エロヒストの資料を挿入したり編集をした人々です。このような編集はイスラエルがバビロニアに捕らわれた時代に至るまで続いていたと考えられています。

第四のグループは「祭司的編集者」と呼ばれる人々で、神を「エロヒーム」と呼んでいる点は「エロヒスト」と同じなのですが、祭儀や祭司に関する記事に特別な関心を持ち、そのような視点でテキストの編集を行ったグループです。

2.創世記1章と2章の違いについて

 創世記1章と2章にはそれぞれ独自の創造物語が記されていますが、1章〜2章4aは「祭司的編集者」が、2章4b〜25節はヤハウィストが記した部分であると考えられています。しかし細かい分析によりますと、それぞれの章に複雑な編集が加えられているため、上記の四つのグループがテキストにどのように関わっているのかを正確に確定することは困難です。二つの創造物語を概観しますと、1章は神学的色彩が強く、2章は神話的な雰囲気が強く感じられる内容であると言えましょう。

編集についての詳しい分析から離れて1章と2章を素読するだけでも、それぞれの創造物語の違いが楽しく味わえることと思います。

3.私たちへのメッセージ

 ・私たちは神の「息」よって創られた

   2章7節には、神がご自身の「息」によって私たちに命を与えて下さったことが記されています。私たちはこのことを「アダム」が元々「塵」という意味の言葉であることと合わせて理解し、塵に等しい私たちに命の息を与えて下さった神の恵みに感謝を捧げましょう。私たちはこの「命の息」のことを、新約聖書の視点から「聖霊」という意味で理解したいと思います。

・神は男と女を対等なパートナーとして創って下さった

   神は私たちを「男」と「女」という対等なパートナーとして生きるように創って下さいました。21〜23節については、かつては「男のあばら骨で作られた女は一段劣った存在である」という誤った理解も見られましたが、神が男と女を創造されたことが聖書の中にきちんと位置づけられていることは、古代においてはかなり進歩的な理解であったと考えられます。現代に生きている私たちは、この御言葉を、神が男と女を対等なパートナーとして創って下さったという意味で受け入れるべきでありましょう。